介護業界はAIや最先端技術で本当にIT化(デジタル化)できる?
電子化を推奨される介護業界、その未来は?

読者様から寄せられた介護の体験談記事を掲載しています。
厚生労働省は、介護業界における書類の電子化(デジタル化)を推進する方針です。
元々2022年までに実現したいと考えていましたが、この度のコロナ騒動の経験も踏まえて前倒しするようです。
来たる2021年の介護報酬改定がデジタル化を後押しする改定になることは、ほぼ確実です。
もくじ
介護におけるデジタル化って?
では、介護の仕事がデジタル化すると、具体的に業務内容はどう変わるのでしょうか?
オンライン申請が可能になる
介護保険の申請などの大部分を、わざわざ役所に出向かなくても、オンラインで申請できるようになります。
時間と労力、交通費のコスト削減に繋がります。
ペーパレス化
今まで、事業所で大量に保管していた書類がペーパレス化することによって、保管する場所を確保する必要もなくなり、用紙にかけていたコストが削減されます。
また、過去の書類を探す時も、倉庫で埃をかぶって必死に探す手間はなくなり、データを検索すれば数秒で目的の書類を見つけることができます。
文書の簡素化、標準化
介護職、ケアマネージャーを苦しめていた手書きの記録を、全国統一の形式で標準化することで、関係機関の情報共有が効率化されます。
また、介護職やケアマネの作業負担軽減にもなります。
AIでケアプラン作成
今までの膨大なデータから、利用者の身体状態や家族構成などの状況を入力すれば、どんな支援が何%で必要になるのかをAIにより算出することが可能になります。
ケアマネの業務負担を軽減することはもちろん、ケアマネの経験や個々の価値観などで主観的に決められるケアプランではなく、過去の科学的根拠に基づいた客観的なケアプランの作成ができるようになります。
介護ロボットの導入
利用者のコミュニケーションを担うロボットや、アシストスーツのようなロボット、利用者の行動や身体状態を見守るセンサー系のロボット、移乗や移動を補助するロボットなどが導入され、介護職の身体的負担が大幅に軽減されます。
オンライン会議
介護の仕事では利用者のケアについて会議を行うことが多々あります。
そういった会議をオンラインで行うことにより、業務全般の効率化につながります。
オンライン研修
介護福祉士法で、資格取得後も様々な研修を受けて自己研鑽することが定められていることもあり、介護の現場で働いていると研修に参加する機会が多くあります。
そういった研修をオンライン化することで、時間の節約や作業コストが削減されます。
もちろん、資格の取得を目指している方にとっても有意義なオンライン研修などもあります。
介護の主な資格
介護業界の仕事は多岐に渡り、幅広い専門的な知識が求められます。
そのため、資格の種類も多く複雑なため、以下に表としてまとめてみました。
資格名 | 簡単な説明 |
---|---|
介護職員初任者研修 | 介護の資格では「入門」とされ、まずは取得を目指したい基本の資格です。 |
介護福祉士実務者研修 | 介護職員初任者研修資格からステップアップで取得される場合が多いです。 介護施設で働きながら介護福祉士を目指すためには、実務者研修の修了が必須 |
ケアマネジャー(介護支援専門員) | 昨今取得難易度が上がっている介護業界の代表的な資格の一つ。長期の実務経験が必要な専門性の高い資格です。 |
介護福祉士(国家資格) | 介護の国家資格です。 介護福祉士実務経験or福祉系高校 or 養成施設、いずれかを軸に取得を目指す国家資格です。 働きながら取得するのが難しい資格ですが、これがないとできない業務も多いため、可能であれば取得しましょう。 |
レクリエーション資格 | レクリエーションにも資格が存在します。保有すれば、レクリエーションのリーダーになりやすいなどメリットがあるでしょう。 |
サービス提供責任者 | サービス提供責任者として必要な知識を保有していることを証明する資格です。長期にわたり介護業界で働くのであれば視野に入れておきたいですね。 |
看護師資格 | 介護とは無縁に思えますが、看護師から介護士に再就職、転職するケースもあるようで、たまに介護士でありながら看護師資格を保有しているケースがあります。 病院で従事する介護士であれば、一目置かれる存在になれるでしょう。 |
ヘルパーは特定の資格がなくても就職できますが、利用者宅で身体介護を行う訪問介護員になるには「介護職員初任者研修」「実務者研修」の認定が必要です。
いずれにしても、新たに資格を取得するのはハードルが高いものです。
キャリア・収入アップを目指すのであれば介護の資格取得をサポートしてくれる再就職、転職エージェントもあるので、活用してみてください。
※さすがにオンラインだけで資格取得まではできません
デジタル化は多くのメリットがある!けど、解消すべき問題も多い
良いこと尽くしのデジタル化ですが、実現のためには解消すべき問題もあります。
まず、デジタル化を実現するには初期費用がかかります。
そして、情報漏洩のリスクもあります。
また、介護の現場は若い世代が少なく平均年齢が高い傾向にあるので、単純にパソコンに不慣れな職員も多いです。
今までずっと手書きが当たり前だった業界の体質を、180度ひっくり返すために乗り越えるべき壁は高そうですね。
AI時代、どのような働き方が求められるのか?
現在はAIやロボットの導入に伴い、人々の職が奪われつつある時代です。
これは特定の業種特化(介護の転職)に限らず、すべての業界に関係のあるトピックスでしょう。
「自分の職も近い将来、AIやロボットにとって変わられるのではないか?」という不安を抱いている方も多数いると思います。
ここで少しだけ、最新の科学技術の説明と「人間にしかできない仕事」について補足します。
R P Aシステム
R P A(ロボティック・プロセス・オートメーション)は一言で言うと、「ロボットが自動的に業務を行うシステム」のことです。
ちなみに、これはAIとは別物であるという点です。
R P Aでは、考える必要のない簡易的な業務をロボットに24時間365日行わせることで、事務の人がいなくても業務を可能にするのです。
人事や経理の業務の一部はすでにこれに仕事を奪われています。
第一に人的ミスや不正の防止できるし、業務効率化やコスト削減できるので、企業にとって多くのメリットがあるのです。
機械的な反復作業や簡単な事務作業はこの技術にどんどん奪われていくと思われます。
AI
単純作業を行うロボット(R P A)と違い、AIは「思考」ができます。
データの蓄積から最善の策を推測、処理し答えを導きます。
取り扱うデータが膨大となれば、人の経験則や知識はどれだけ優れていても敵いません。
AI時代に求められる働き方・仕事
人間に残されるのは、数値化・機械化できない温かみのある仕事でしょう。
人間には、相手の感情を想像し、汲み取る能力です。これを活かすことが出来る仕事は残ります。
例えば営業や接客などの仕事の多くは人対人のままであり、お客さんを第一に考える必要があります。
人と人を結ぶことをうまくコントロールする仕事とも言えます。
今現在「この仕事を一生続けられるのか」と悩んでいる方や、介護の転職で悩んでいる方はこの点を意識して職場選びをしてみてはいかがでしょうか?
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