夜に豹変する介護施設の迷惑利用者!妄想に振り回される介護士

私が以前勤めていた施設での話です。

当時、Hさんという白髪頭が特徴の、新規入居者のおばあさんが居ました。

車いすを使用されてはいますが、身の回りのことは、ほとんどご自分で行える比較的自立度の高い方でした。

日中はわりとニコニコしていて、穏やかな方なのですが……

この方、夜になると豹変するんです。

今回はそのエピソードを書いてみたいと思います。

病院内でいかがわしい事を!?

ある夜勤の日のこと。

ナースコールが鳴り、見るとNさんからでした。

私「どうなさいましたか?」

Nさん「ちょっと来て頂戴!!!!」

大きな声で興奮気味に呼ばれましたので、何事かと思い、私は急いでNさんの部屋でと駆けつけます。

病院内でいかがわしい事を!?

私「どうしました!?」

Nさん「ちょっと!お向かいのベッドのKさんたら、こんな夜中に若い男を連れ込んで!!!どういう神経してるのよ!!!」

私「ええ?!」

そんなまさか!とは思いましたが、念のためKさんの部屋のカーテンを恐る恐る開け、中を確認。

案の定、Kさんはスヤスヤ眠られており、若い男(?)が居た形跡など一切ありません。

私「Kさんは寝てますよ。

それに今は夜3時ですし、私以外には誰も出入りなんかしてませんけど……」

Nさん「それは、あなたがここに来るのが遅かったからよ!あなたが来る直前にそこの窓から逃げて行ったわ!!!」

私「……」

一応、窓を確認しますがしっかりと内側からカギがかかっているので、誰かが出て行くのは不可能です。

しかし、こちらが否定すれば否定するだけ、Nさんの怒りのボルテージもぐんぐん上がっていってしまいますので、

ここは私が折れることに。

私「分かりました、対応が遅れてすみません。

明日、警備員さんにこの部屋の見回りを強化してもらうようにお願いしておきますね」
※そもそも誰も出入りなどしていないので、これはNさんを安心させるための嘘です

Nさん「ええ、そうして頂戴!!夜な夜な若い男を連れ込んで、あんないかがわしい声を聞かされるんじゃ、安心して眠られやしないわ!」

一体、Nさんにはどんな声が聞こえたというのでしょうか……。

気にはなりますが、これ以上興奮されても対応に困るため、私は

「はい、分かりました」

と、丁重にNさんの相手をしたのち、退室します。

5時間後のこと

そして事件は5時間後に起こりました……

朝の8時になり、早番の職員やユニットリーダー、ケアマネたちが出勤してきます。

ケアマネが私のもとへ、夜間帯に何か変わりがなかったか確認にきました。

すると、ケアマネの姿を発見したNさんが、ものすごい勢いで車いすをこいで、近づいてきます。

Nさん「ちょっと、ケアマネジャー、聞いてちょうだい!!!」

私は、昨夜のいかがわしい声事件について苦情を言うのだと思い、内心やれやれ……

でしたが、

この後、Nさんはトンデモないことを言い始めたのです……

え、犯人は私ですか!?

ケアマネ「Nさん、おはようございます。昨夜は眠れましたか?」

Nさん「私ね、もうこんな施設出ていきたいわ!!!手配してちょうだい!」

ケアマネ「いったい何があったんですか?」

Nさん「この職員さんったら、昨日の夜、ここの警備員さんと私の部屋の前でいかがわしいことをしていたのよ!!!!!」

ケアマネ「えっ?」

私「はぁあああ!!??」

さすがに、そんなデタラメを言われてしまっては反論するしかありません。

私「いやいや、そもそも警備員さんは施設の中を巡回するだけで、居室までは来ないですよ!」

Nさん「いいや、私は見ました!私の部屋の前で、あなたと警備員さんが破廉恥なことをしていたわ!!」

私「勘弁してくださいよぉ……」

ケアマネのほうを見ると、口元を手で押さえ、笑いを堪えているようでした。

いやいや、ちっとも笑えないですから!!!

内心憤慨するわたしですが、もう退勤時間でしたのでこのあとのNさんの対応は他の職員やケアマネに任せることに。

後から聞いた話ですが、

私が退勤したあとも、Nさんの怒りは収まらず、終いには

「あんな破廉恥な職員がいるなんて本当に信じられないわ!!」

「私、ここの所長さんに直談判させていただきます!!!」

「これはれっきとした苦情です!!改善されないようであれば私がこの施設を出ていきますから!!!」

と、大騒ぎし、騒ぎを聞きつけた所長もフロアへ来てNさんの話を傾聴したそうです。

Nさんはその後退所されました

所長が話を聞いてくれたことで、気持ちが落ち着いたのか、その後しばらくNさんは大人しくなりましたが、

ある日脳梗塞を起こし、緊急搬送されそのまま入院。

施設に戻るのはもう難しいだろうということで本当に退所されることに……

そんなNさんの妄想の被害者であった私は、その後も出勤するたびに仲の良い同僚や先輩たちからからかわれ、恥ずかしかったです。

認知症高齢者の妄想は、時として大勢の人を巻き込みますので今後も注意しながら関わっていきたいと思います。

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