介護施設で喧嘩する利用者の話。訴訟すると脅す5人姉妹に巻き込まれた!

これは、私が以前働いていたグループホームでのクレーマーと、私たち職員との奮闘劇です。

題して「姉妹抗争に巻き込まないで!」。

ぜひ最後までご覧ください!

Tさんのこと

入居者にTさんというお婆さんが居ました。

年齢は、当時88歳くらいだったと思います。

Tさんは、普段あまりしゃべらず物静かではありますが比較的頭がしっかりしており、

職員が話す内容などもしっかりと理解されている方です。

そしてTさんには娘様が5人いらっしゃり、毎週月~金曜日に1人ずつローテーションでTさんのもとへ面会に来ていました。

実はこの娘様たち、姉妹間の仲が非常に悪く、面会時に鉢合わせてしまわないために1人ずつ違う曜日に来ているのです。

月曜日

長女様が面会に来ます。

長女「お世話になっていますー。

これ、1つはうちの母に、残りは職員のみなさんで召し上がってください」
職員「いつもすみません。

頂きます」

駅前のドーナツ屋さんで買ってきたドーナツを頂きました。

長女「ねえちょっと、聞いて下さいよ」
職員「どうなさいましたか?」

長女「うちの妹ったら……」

Tさんの面会に来ているはずなのに、気がついたら妹様に対する愚痴が始まります。

火曜日

次女様が面会に来ます。

次女「こんにちはーお世話になってます。

これ、みなさんでどうぞ」

某お菓子屋さんの三○六小割りを頂きます。

次女「ところで、うちの姉は来ましたか?」

職員「はい、昨日いらしていましたよ」
次女「そうですかー。

姉さんってば、またドーナツ買ってきたでしょ。

うちの母さんは糖尿病だから甘いものは控えたほうが良いっていつもいつも言ってるのに……」
職員「まあ、でもTさんは今血糖値も安定してますし、1つくらいなら食べても大丈夫ですよ」
次女「そうやって油断してたらまた血糖値が上がっちゃうのよ!」

ちょっとキレ気味に言われます。

次女「とにかく、姉さんが何か持ってきても母さんにはあげないでください」
職員「はあ……」

水曜日

三女様が面会に来ます。

三女「どうも、お世話になっています。

どうですか、母の調子は」
職員「特に体調不良などもないですし、お元気ですよ」
三女「そうですかそうですか。

そういえば、聞いて下さいよ、うちの姉さん(次女様のこと)ったら、

今度海外旅行に出かけるらしいのよ」
職員「へえ、そうなんですか。

良いですね」
三女「何も良くないわよ。

だって、旅行に行くから、お土産代を先によこせって言うのよ!」
職員「はあ……」
三女「職員さんに言うのもどうかとは思うけど、ウチの母の施設利用料だって決して安くはないのに。

いくら姉妹5人で折半しているとは言っても、それでもウチはなんとか生活費からねん出しているんです」
職員「はい……」
三女「ウチは他の姉妹と比べて主人の稼ぎがそんなに良くないから、施設代を払うのも結構ぎりぎりだって言うのに……」

Tさんの面会に来ているはずなのに、姉妹間格差について愚痴を言われます。

木曜日

四女様が面会に来ます。

四女「お世話になっています。

この後も仕事があるので、ちょっとだけ母の顔を見たら帰ります」
職員「分かりました」
四女「ところで、姉さんたちは相変わらずですか?」

職員「ええ、まぁ……」

四女様は、姉妹なのに仲が悪いのではせっかく面会に来ても母が可哀そうだといつも嘆いています。

しかし、結局は四女様も愚痴を言い始めるのです。

四女「だいたい、あの人たちは働いてないんだから、もっとゆっくり母との時間を大切にするべきですよ」
四女「私はまだ定年前ですし、毎日仕事が忙しいですからあまり時間はとれませんが、それでもなるべく
週に一回は顔を出すように心掛けているんです。

それなのに、本当にあの人たちは自分勝手で……」

四女「普段時間なんて余るほどあるんだから、母に介護が必要になった時、私は最後まで施設に入れるのを反対していたんです」
四女「やっぱり、介護は家族がするべきですから。

なのに、こんな閉鎖的なところに……」

四女様は、仕事が忙しく精神的に余裕のない方でした。

悪気はないのだと思いたいですが、いつも職員に対し施設介護の愚痴を言います。

金曜日

五女様が面会にきます。

五女様が来るのは、いつもちょうどお昼ごはんの時間でした

五女「あら、今日のご飯はなんですかー?ええと……

天ぷらに、煮物に、おひたし……」
職員「Tさん天ぷら大好きですよね」
五女「そうねえ。

でも、こんなに脂っこいもの食べさせて大丈夫?胃が荒れちゃうんじゃないかしら」
職員「でも、揚げ物は週に一度だけですから……」
五女「何においても、油断は禁物よ!それでね、今日は良い物を持ってきたの」

そう言って取り出したのは、よく分からない健康サプリメントでした。

五女「これ、本当にお勧めなの。

母に飲ませてやって下さい。

職員さんも、よかったら一袋もらって」

あやしいにおいがプンプンしましたが、せっかくのご厚意を無碍にもできず、頂きました。

そして、ある日のことです……

今まで特に不調もなかったTさんが、誤嚥性肺炎を患ってしまい、入院。

治療後退院するも、体力がガクッと落ちてしまい、ほぼ寝たきりの状態になってしまいました。

その一週間後くらいから、ついには食事も摂ることができなくなりターミナル対応となったのです。

すると、今まではそれぞれ別の日に面会に来ていた娘様たち全員が毎日面会に来るようになり、

Tさまに一生懸命話しかけます。

ターミナル対応が始まり、3日後くらいのことです。

5人揃って面会に来ていた娘様達ですが、いきなりT様の部屋から四女様の怒鳴り声が聞こえ始め、

職員たちは驚き聞き耳をたてます。

四女「だから、私は母さんを施設に入れるのは嫌だったのよ!!!

こんなとこに居るから母さんは肺炎になってしまったんだわ!!」

職員間では、Tさんがこんな状態でもまだそんなこと言うんだね……

と、みな辟易していましたが、少し経つと、娘様全員が職員のもとへやってきました。

施設を訴えます

長女「私たち、この施設を訴えます」

職員「ええ?!」

衝撃の発言に、職員全員茫然。

次女「母さんがこんな風になってしまったのは、職員さんたちが母の健康管理を徹底していなかったからですよね?」

三女「母は糖尿ですし、合併症かなにか引き起こしてしまったんじゃないんですか?おやつは食べすぎていませんでしたか?」

四女「介護の仕事って、お医者さんや看護婦さんとは違って誰でもできるんでしょう?ろくに知識もないでたらめなケアを
していたんじゃないですか?」

五女「私が持ってきたあのサプリメント、母さん全然飲んでないじゃないですか!どうして飲ませてくれなかったんですか!?」

なぜか姉妹が結束して施設に襲いかかる!

普段仲が悪いはずなのに、何故かこの時は姉妹5人が一致団結し、施設に対する不満を怒涛の勢いで述べ始めました。

主任が、高齢者は嚥下機能が低下してしまうため、自分の唾液でも上手く飲み込めず気管に入ってしまい、そこから肺炎に
なってしまうことや、Tさんには白米の量を毎日きちっと計って提供し、おやつも決められた分しか出していないことや、

血糖値は今でも安定していること、でたらめなケアなどは一切していないことをキッパリと伝えました。

それでも娘様たちは、どうしても施設全体を悪者にしたいらしく、終いには五女様が「この施設は風水的に建ってる位置が悪いわ」
などと、もうめちゃくちゃでした。

長女「とにかく、母にもこのことを伝えてみますから」

と、言い、また5人揃ってTさんの部屋へと向かいます。

主任と私もついていきました。

長女様が、T様に一連の流れを伝え始めます。

すると……

いい加減にしなさい!

Tさん「いい加減にしなさい」

険しい顔のTさんが、か細くも力強い声で言います。

Tさん「あんたたちは、揃いも揃って、どうして都合が悪くなると全てを他人のせいにしようとするんだ」
「ここの職員さんたちは、いつも本当に良くしてくれている。

一生懸命わたしの世話をしてくれる」

「適当な扱いを受けたことは、これまでに一度だってない!!!」

「あんたたち、もうここに来なくていいよ。

私は、最期は職員さんたちに看取ってもらえればそれでいい」

「もう、あんたたちの顔なんか見たくない……」

悲しそうに言うTさんの顔を見た娘様達は、黙ってしまいました。

その後は、施設に対する謝罪などはなかったものの、Tさんのあの言葉を聞いた娘様達は施設に対する不満を一切口にしなくなり、姉妹間で喧嘩することもなく、毎日静かにTさんの面会に来られました。

そして、Tさんは娘様達と職員に見守られながら静かに息を引き取られました。

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